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相続が発生するためには、被相続人が亡くなった時に、相続人が生存していることが必要です。相続は、被相続人が亡くなると同時に開始し、権利義務が相続人に直ちに移るため、被相続人より前に亡くなっている相続人にはその権利義務を受けることができない。つまり相続できないということになります。
そのため相続が発生するには死亡の前後関係が重要になりますが、前後関係が不明であった場合はどうすればよういのでしょうか?民法は32条の2で『同時死亡の推定』を定め、同時に死亡したと推定することによって解決を計っています。
1.同時死亡の推定とは
同時死亡の推定とは、数人の者が死亡した場合において、その死亡の前後が明らかでない場合に、同時に死亡したものと推定する制度です。
【同時死亡の推定が定められた理由】
次のようなケースにおいて相続分が大きく異なることが理由です。
Aには、妻Bと子Cが、子Cには妻Dがいるが子供はいない。Aの遺産は1億円。
ケース①:Aが亡くなり、その後Cが亡くなった場合。
Aの遺産1億円は、妻Bと子Cに各5,000万円ずつ相続され。その後Cが亡くなったことにより妻Dが約3,300円、母Bが約1,600万円を相続することになります。
ケース②:AとCの死亡の前後が不明の場合。
AとCは同時死亡と推定され両者間に相続は生じないため、妻Bが1億円を相続することになります。子Cの妻Dは0円、相続は生じません。
2.同時死亡となる要件
①同一に危難に遭遇し、死亡の前後が不明である場合
②別々の危難に遭遇し、どちらも死亡の時期が不明である場合
③一方の死亡時期は明確だが、もう一方の死亡時期が不明の場合
3.効果
・両者間では相続が生じない
・両者間では遺贈が生じない
※代襲相続は生じる。上記事例ケース②において、子Cに子Eがいた場合は、BとEが各5,000万円ずつを相続することになる。
4.まとめ
通常の相続手続きにおいては、死亡の前後が不明であるケースは多くありませんが、不幸な航空事故や災害などの場合は死亡の前後が分からないといったこともあります。死亡の前後によって相続分が大きく異なってくるため、しっかりと確認が必要です。