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制限行為能力者制度とは、判断能力が十分でない者を保護するための制度です。高齢や病気などによりきちんと判断することが難しくなってしまった方が自身でする行為に制限をかけ、その財産・利益を守ります。また、取引の相手方も不意の契約取り消し等のリスクを予防し安心して取引できるようにと設けられました。
1.制限行為能力者の種類
□成年被後見人・・・精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者。
□被保佐人・・・精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者。
□被補助人・・・精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分であるもの。
保護の必要性が高い(判断が困難な状況が高い)順に、成年被後見人>被保佐人>被補助人となっています。
制限行為能力者の保護開始の申立てを裁判所にする際に、医師に診断してもらい、どちらに該当するか判断されます。
2.保護の方法
制限行為能力者の法律行為に範囲を設け制限をかけ、保護者(成年後見人など)に同意権・代理権・取消権を認めることにより保護を図ります。
□成年被後見人の法律行為は、日常生活に関するもの(例:コンビニでの買い物)を除き取り消すことができます。法律行為についての正確な判断が常にできない状態であるため、不利な契約等から守るためです。
□被保佐人は、民法13条1項に定められた法律行為(重要な財産についての行為:相続、借財、不動産処分、自宅大改修など)については、保佐人(保護者)の同意が必要とされます。同意なき場合は取り消すことができることにより保護されます。
□被補助人は、民法13条1項の一部の法律行為につき同意を得なければ取り消すことができるとすることにより保護されます。
3.制度の利用方法など
成年後見申立て(制限行為能力者の保護開始)については、家庭裁判所にする必要があります。
管轄裁判所は本人(成年被後見人)の住所地です。申立ては親族からもすることができますが、申立人の住所地ではないため遠方に住んでいる場合など注意が必要です。
申立てから審判終了まで1カ月から2カ月ほど時間を要します。
4.注意点など
制度利用のお問合せをいただくケースとしては、もちろん判断能力が不足してきてしまったため詐欺的な契約から保護するために、といった方も多いのですが、相続が発生し遺産分割協議をする上で法定相続人の中に判断能力が不十分な方がいるといったケースも多いです。法定相続人の中に後見申立て等の必要がある方がいる場合は、裁判所での審判を経ないと手続きを進めることができません。申立てにあたっては次の事項について注意確認が必要です。
・一度後見申立て等をし制限行為能力者の制度を利用したら、原則、利用取り消しはできません。
・保護者の候補として親族を指定することはできますが、保護者決定は裁判所の判断となりますので専門家が選ばれる可能性もあります。その場合は裁判所が決定する報酬が毎年かかります。
・制度の目的はあくまでも制限行為能力者の保護になります。そのため遺産分割協議等においては法定相続分の確保が必ず必要になります。親族全員の意向として制限能力者が相続しないことが適当であっても認められません。